昨今のサブカルのトレンドとして外せないのが妖怪モノ。
妖怪モノだと超・有名作品「ゲゲゲの鬼太郎」がリメイクされ、ねこ娘の変わりっぷりに驚いた2018年ですが、最近ジワジワと妖怪モノのブームの波が来ているように思えます。
「劇場版夏目友人帳」、「神様はじめました」、「かくりよの宿飯」あたりもそうですが、人気ゲーム「刀剣乱舞」も刀の付喪神を中心に描かれており、妖怪モノとして捉えられもします。(神様と認識する方や、妖怪と認識する方で認識の違いはありますが…)
2018年の漫画を語るなら妖怪漫画を紹介しないと始まらなくない!?と言うことで、今回レビューさせていただくのが『花鬼扉の境目屋さん』という漫画です。
『花鬼扉の境目屋さん』はほっこりとした心温まる系の漫画なのですが、妖怪の姿や特徴などはきっちり書き込まれていて、イラストとして見ても中々興味深い作品となっています。
今回はその魅力やあらすじや、おすすめの話しについて紹介していきたいと思います。(ネタバレも若干あります…!)
「花鬼扉の境目屋さん」ってどんな漫画?
久しぶりに「花鬼扉の境目屋さん」を読む。この漫画を読むと優しくて泣けるだよね。心が疲れた時にオススメです。 pic.twitter.com/USRFY36u4B
— 猫麿 (@nekoya_nekomaro) 2017年6月29日
「花鬼扉の境目屋さん(はなおにとびらのさかいめやさん)」は「Webコミックぜにょん」にて2012年~2015年頃連載されていた漫画です。全4巻、ゼノンコミックスから出版されています。
作者のオイカワマコ先生は、現在同Web雑誌にて「伊能栞の明治大正洋食記」を連載しています。
丁寧な絵柄と細かい描き込み、どこか懐かしいような優しいお話が特徴の「花鬼扉の境目屋さん」ですが 、優しさだけではなく、人付き合いのうえでの大切なことを教えてくれるような漫画です。
携帯で読むだけでは飽きたらず買ってしまった←
本屋3件回ってしまった、、、
そして4巻だけなかったぁぁぁぁ
見つけなければ。
もう読みながらやばい泣く。なんか、泣く。
最高すぎです。はい。#花鬼扉の境目屋さん#オイカワマコ pic.twitter.com/hM2VB2vSQM— むーたろー (@byu_tyo_tyarin) 2016年1月21日
「花鬼扉の境目屋さん」登場人物の紹介
・花房 実(はなぶさ みのる)
彼をメインに話が進んでいきます。人間界に移住し生活することを望む妖怪のサポートをし、自立できるようにするのが境目屋さんである彼のお仕事です。
性格は極めて温厚。のんびり屋さんに近いような彼ですが、妖怪に寄り添う姿勢がまるで母のような優しい男性です。(実際作中でも妖怪にお母さんと呼ばれています笑)
料理上手で、妖怪たちに手料理を振舞っていることが多いです。
・綾部 千早(あやべ ちはや)
境目屋さんである実のサポートをする仕事をしている近所に住む女性です。とても力持ちで重いダンボール箱を何箱も抱えて現れることもしばしば。
妖怪と人間のハーフであり、お母さんは妖怪の朧車です。
花鬼扉の境目屋さんはメインの人間二人と、人間界に現れる妖怪たちで話が構成されています。
「花鬼扉の境目屋さん」簡単なあらすじと設定の紹介
『花鬼扉の境目屋さん』の作中では、「境目屋さん」という特殊な職業があります。
(※境目屋さんとは人間界で生活することを望む妖怪が早く世の中に馴染み生活できるようにサポートする職業です)
妖怪たちは境目屋さんの家の中にある、花鬼扉という美しい小さな襖を開けて現世にやってきます。来る前は鈴が鳴り妖怪を迎え入れます。
人間の子どもが好きで、保育士になることを望んでいる鬼。
主人の亡き跡を継ぎ三味線で生計を立てたい猫又。
永住はしないが、大切の人の墓参りをしたいので作法を学びたい以津真天…などなど様々な妖怪たちが境目屋さんを頼って人間界に訪れます。
そんな妖怪たちを根気強く世話し、正しい道に導く…というのが花鬼扉の境目屋さんのあらすじになります。
花鬼扉の境目屋さんの話の殆どが1話~3話ほどで完結するように構成されており、全4巻中に妖怪は約18種類ほど登場します。
鬼や人魚などメジャーな妖怪も登場しますが、あまり馴染みのない妖怪も登場しているので、作者のオイカワマコ先生は妖怪を良く調べていることが窺えます!
また花鬼扉の境目屋さんの作中では、妖怪の世界は一つではなく、皿と呼ばれる世界で構成されています。
神隠しや、妖怪が張った結界で時代から取り残された世界であり、その世界が一つのお盆の上に皿のように乗っかっているようであることから、お皿と呼ばれています。
なので、妖怪たちに面識がなかったり、お皿によっては非常に貧しかったりと様々な妖怪の世界があります。そのお皿の中には人間がいる世界もあるようです。
境目屋さんの他にも「襖係」という仕事をしている烏天狗のような見た目の妖怪(?)もおり、彼らは境目屋さんの仕事の管理の他、妖怪の監視や妖怪が現代に来る手助けや、自分勝手で人間界に適さない妖怪の連れ戻しの仕事をしています。
盛り込まれた設定ではありますが、ちゃんと納得も出来ますし、押し付けがましかったり、文字が多くて読みにくいなんてことは一切ないので、すんなり設定を楽しむことが出来るのがいいですよ!
「花鬼扉の境目屋さん」ネタバレありのオススメ話の紹介!!
「花鬼扉の境目屋さん」の話の中でも特に印象に残ったお話しを2つ紹介したいと思います。
※ネタバレを含みます!注意!
本当の強さ(前編・中編・後編/2巻に掲載)
【1月刊見本到着!】ぜにょんから20日発売の『花鬼扉の境目屋さん』2巻が到着!2巻は、実くんと単眼娘と猫又が織り成すハッとするほど素敵な想定です☆涙なしには読めない「本当の強さ編」完全収録です!(A) pic.twitter.com/P36cjkFVFv
— ZENON OFFICIAL (@zenon_official) 2014年1月16日
実以外の境目屋さんが登場するお話です。
出てくる妖怪は雷獣の夜彦。本来の姿は犬のようで、おでこに角が一本あります。
彼は皿を渡り歩き、人間と戦うことで楽しみを見出していました。人間界にきても変わらず、気に入らない人間がいれば殴り、喧嘩を仕掛けることを楽しんでいました。
素行の悪さに夜彦は皿へ戻されそうになりますが、実が彼を引き取ることで夜彦は現代にいることを許されます。
「本当に怖い暴力はその気がないのに傷つけてしまうことだ」「いつか大切な人を傷つけてしまうよ」と実に叱られますが、彼の性格は直ぐには変わりません。喧嘩の現場を得意の聴力で見つけては加勢しにいくような生活をしていました。
優しく諭す実から逃げた夜彦は偶然病院の個室で入院をしているおばあさんに出会います。おばあさんは喧嘩で傷ついた夜彦の手当をしてくれます。
おばあさんは夜彦を息子のように可愛がり、夜彦も新しい友人を見つけたように懐き毎日病院へ通います。
しかし事件が起こってしまいます。おばあさんの大切にしていた櫛を夜彦が壊してしまうのです。おばあさんは「気にしないでいい」と言ってくれましたが、その悲しそうな顔に実の言っていたことを理解し、夜彦は胸を痛めます。
夜彦は実に背中をおされて病院へ謝罪に向かいますが、そこでおばあさんの容態が思わしくないことを知ってしまいます。人が死ぬということが怖くなってしまい、夜彦は病院通いを辞めてしまいますが、数日後改めて病室を訪ねると、おばあさんはもう虫の息でした。
おばあさんは自分の命よりも、夜彦の心配をしていました。喧嘩を強くて無敵みたいなふりをしているけど、本当は弱虫で、でも優しい子であることをおばあさんは見抜いていたのです。おばあさんは夜彦に最初で最後の頼みごとをします。雷獣だったら大きな雷を鳴らして欲しいと、お祭りみたいで好きだからと。夜彦は大きな雷を鳴らしおばあさんを送りました。
心の痛みを知ることで夜彦は人間らしさを学びます。暴力以外の繋がりを作ることを実と約束し、一度皿へと帰っていきました。
空腹の穴(4巻に掲載)
弧者異(こわい)という妖怪、万里さんのお話しです。妖怪の時の姿はお椀のようなものを被りそこから角が二本伸びています。
人の食べ物を横取りする妖怪・弧者異が横取りするのではなく、働いたお金で美味しい物を食べるために人間界に来ました。
人間界には美味しいものが多いと聞き、「大昔に食べたとても美味しかったものに出会えるかも」と万里は目を輝かせます。
実の作ったごはんも美味しいし、バイト先の仲間に連れて行って貰った喫茶店の料理も美味しいし、万里はもっと沢山の美味しいものを求めて一人で色々な場所へ赴き沢山食べます。
しかし、いつしかごはんが美味しいと思えなくなってきてしまいました。
沢山食べても空腹が満たされず、実に相談すると「お弁当を作ってあげるからお散歩に行こう!」と誘われます。
実のお弁当は凝っていて美味しいから楽しみ!とわくわくしてお散歩に出かけますが、出てきたのはただのおにぎりでした。万里はがっかりしながらも、実と話をしながらおにぎりを食べます。笑いながら楽しく食事をしている時に実がもう一つおにぎりを勧めますが、万里は「もう満腹!」と断り、ハッとします。
大昔に食べた美味しいものはただのおにぎりだったけど、おにぎりをくれた人は万里が食べ終わるまで傍にいてくれた…ということを万里は思い出しました。
そこで一人でする食事は味気ないこと、誰かと食べることで幸せになることを理解するのでした。
「花鬼扉の境目屋さん」まとめ
花鬼扉の境目屋さんのあらすじや魅力について紹介しました。
「花鬼扉の境目屋さん」は打ち切りのような形で終わっているような気がします。
(主観ですが、終わりらしい終わり方をしていないように感じました)
ただ、そこがこの作品らしいさもあってとても良いです。境目屋さんはまだどこかにいて、今でも妖怪が人間界に来るために頑張っているのではないかと想像すると、わくわくします。
二つほどお話を紹介しましたが、他のお話も心が温かくなるようなものばかりなので、是非読んでみてください。きっと自分にピッタリなお話が見つかると思います。
このお話は妖怪が学ぶことを基に作られていますが、私たち人間にも当てはまることばかりなので、少し背中を押してくれたり、自分の行動や言動を省みることもできますよ。
最近流行のデスゲーム系の漫画に疲れてしまった方などにオススメしたいので気になった方は是非チェックしてみてくださいね!
投稿者プロフィール
- BLの魅力に取り憑かれた乙女(年齢不詳)。
様々なBL作品を熟知している。現実世界には興味はありません。
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