日本のアニメはこれまで、日本人だけでなく、海外の人々をも魅了してきました。その影響力はアジアにとどまらず、欧米の国にもたくさんのアニメファンがいます。
それほどまでに人気のあるアニメですが、日本ではネガティブなイメージを持たれることも多くあります。日本人は、なぜアニメを毛嫌いするのでしょうか。
また、海外の人々はアニメをどのように受け止めているのでしょうか。アメリカに留学経験のある筆者が独自の観点から、アニメに対する日本内外での価値観の違いに切り込みます。
日本人が描くアニメのイメージ
アニメは日本を代表する産業の一つです。その証拠として、邦画の歴代興行収入を見ると、その多くがアニメ作品であることが分かります。
しかし、日本人にとって、「アニメ」というワードは必ずしも良い印象を与えるわけではありません。むしろ、日本全体で見ると悪い印象を与えることの方が多いかもしれません。
アニメ=オタクという偏見
アニメオタクが「きもい」と言われない世界になる日がくることを祈ってます… pic.twitter.com/8Q4KFjgMe2
— ayanakushi#凛fam (@ayanakushi) 2017年11月25日
アニメが好印象を持たない第一の理由として挙げられるのは、「アニメ」という言葉が即「オタク」のイメージに繋がってしまうということです。具体的に表現すると、メガネをかけ、バンダナを巻き、チェックのシャツを着て大きなリュックを背負い、おどおどして話すような根暗な男性のイメージ。このイメージが染み付いているために、「アニメ=キモい」という発想に至ってしまう人も多いのではないでしょうか。
オタク=犯罪者予備軍という偏見
どうしてマスコミはオタク=犯罪者っていうイメージを世間に与えようとするんだ! pic.twitter.com/I0kU24K7Iu
— あゆっぴ (@tennsi4024) 2018年7月9日
さらに、「オタク」というワードにも偏見があり、メディアの報道によって、オタクの人は犯罪予備軍であるというイメージが植え付けられています。
以前からアニメと事件の関連性を指摘する報道が多く見られますが、最近でも、殺人事件の容疑者がアニメ好きであったことを強調する報道がありました。日本ではこのようなメディアがアニメへの偏見を加速させていると言っても過言ではないでしょう。
日本の排他的思想
他にも、日本独特の思想がアニメのイメージを作り上げているとも言えるでしょう。
日本人は協調性がある反面、「出る杭は打たれる」という言葉があるように、よそ者は寄せ付けないという排他的な文化を持っています。
このため、少数派の人々に対しては一方的に否定的なイメージを押し付けるということが多々見られます。
例えば、海外では宗教を持つことは全く不自然ではありませんが、日本では宗教を信仰している人に対して「胡散臭い」や「怖い」などという印象を抱く人が少なくありません。アニメも同じです。アニメ好きが少数だからこそ、ネガティブなイメージを持ってしまう人もたくさんいるようです。
海外の人が描くアニメのイメージ
海外にもアニメに対して偏見を抱く人はたくさんいます。
しかし、アニメに対する考え方は日本よりかなり好意的であるという印象があります。というのも、「アニメ=オタク」ではなく「アニメ=日本文化」という捉え方が主流だからです。
アニメ=文化という考え方
今日はオーストラリア版コミケ、最大のアニメ・漫画の祭典SMASHの日です。
年々大きくなり、シドニーで1番大きなICCという施設を貸し切るレベルになりました。
日本のアニメ文化が海外でここまで愛されているのは日本人としてかなり嬉しいですね。 pic.twitter.com/58F6z0Tbz7
— 留学知恵袋2018|オーストラリア留学・ワーホリ失敗しない方法まとめ🇦🇺 (@ryugakumethod) 2018年7月14日
海外の人にとって、日本文化として思い浮かべるものの一つが、アニメや漫画などのサブカルチャーです。
アニメは歴とした文化であり、日本の文化が海外に人気な理由の一つでもあります。実際、「アニメ」というワードは世界共通語であり、日本以外で作られたアニメーション作品と区別して認識されています。
一昔前には「Japanimation」という言葉も存在し、アニメーションの中でも日本のアニメは特別な存在として受け入れられているのです。
海外の人にとって驚きなのは、アニメが対象とする視聴者の層が幅広いことです。日本以外では、アニメーション作品は基本的に全て幼児や子供向けに作られています。
しかし、日本のアニメは世代を問わず、「ドラえもん」から「エヴァンゲリオン」まで、あらゆる世代を対象とした作品が存在します。海外には、日本と同じように20代や30代のアニメファンも多く、大人でも楽しめるコンテンツとして広く受け入れられています。
欧米の個人主義な思想
加えて欧米の思想もアニメのイメージにつながっています。
欧米の文化は、日本のような協調性はありませんが、一人一人の違いを尊敬する個人主義の文化を持っています。
そのため、一概には言えませんが、いわゆるオタク文化に寛容で、「アニメが好き」という意見が日本よりも尊重されている感じがします。日本で「私はアニメオタクです」と言うと、軽蔑されたり嫌厭されたりするのではないかと言うプレッシャーがあるように思います。
しかし、欧米ではそれだけで人格を判断されるということは比較的少なく、「私はアニメオタクです」と名乗りやすい文化と言えるでしょう。
また、海外には、熱狂的なファンでなくても、アニメの良さを理解している人はたくさんいます。特に欧米では、アニメの凄さを真摯に語りかければ興味を持ってくれる人も多く、話すことさえ拒まれることもある日本と比べて非常に楽にアニメについて話せるという印象です。
海外でのアニメの評価と影響
筆者は現在アメリカに在住していますが、日本以上にアニメに対するリスペクトの高さを感じています。
海外では日本のアニメはどのように評価されているのでしょうか。
アニメは世界で大人気
25万人の来場者を誇る #ジャパンエキスポ 。アニメやゲーム以外にも和食や書道・着物など日本文化の出店も。国内消費に伸び悩む中小企業の販路開拓として一考の価値がありそうです。
中小企業の海外展開に活路 Japan Expo 2018 | Japan In-depth https://t.co/cXl5IHodJq @ulala_go pic.twitter.com/UurTdVZMG6
— フランス貿易投資庁-ビジネスフランス (@BFrance_Japan) 2018年7月17日
メディアの一つとして、アニメは世界でかなり高い評価を得ています。繊細な描写、独創的な世界観、複雑なストーリー、画期的な映像などが評価されており、これまでも、アメリカ、ハワイ、フランス、イギリス、台湾、ブラジル、シンガポールなど、世界各地で大きなアニメのイベントが開催されてきました。
アニメを通して日本の文化を学ぶ人も多いようで、例えば七夕などの行事についてアニメを通してはじめて知るという人も多数います。また、逆に日本の文化が好きな人はアニメも好きであることが多く、海外の人にとってアニメと日本文化は切り離せない関係なのです。
海外の人にとって日本の映画やドラマは二の次
日本では、アニメは邦画やドラマよりも低俗であるという考えの方がよく見られる気がします。
しかし、海外の人で、日本文化として日本の映画やドラマを思い浮かべる人はあまりいません。逆に日本ではマイナーとされているようなアニメや特撮が賞賛されるケースは多くあります。
海外には、邦画やドラマを超えるコンテンツはあっても、アニメや特撮と取って代わるようなメディアは存在しないのです。
海外で注目のアニメ等のメディアが、日本では他のコンテンツよりもぞんざいに扱われているというのは悲しい事実です。
アニメが海外に与えた影響
アニメが海外に影響を与えたという例も多く、例えば押井守監督の「攻殻機動隊」がハリウッド映画「マトリックス」の元になっていたり、今敏監督の「パプリカ」の様々な場面がハリウッド映画「インセプション」に取り入れられていたりします。
昔の作品で言えば、ディズニーの「ライオンキング」は手塚治虫原作の「ジャングル大帝」に似た場面が多数あり、その影響は確実と言われています。
日本人はアニメの良さを海外から学ぶべき
海外紹介する番組見てたら、
やっぱり日本のアニメだけは最強なんやなと思う。日本のアニメ理解するために日本語独学で覚えるとかザラやもんな。世界に誇れる文化なんやな。— ぶらっきぃ (@elenor1029) 2018年7月16日
海外の人は、日本に住んでいないからこそ分かるアニメの素晴らしさを知っています。
アニメは世界に誇れる日本文化であるのに、当の日本人自身がそれを否定していては宝の持ち腐れです。 アニメの本質を理解するためにも、日本人は海外の人の声を聞いて、その良さを学ぶべきなのかもしれません。
投稿者プロフィール
- コードギアスが大好きな現役大学生。
アメリカに留学中で海外にアニメ好きの友人が多数。
趣味はバスケットボールと映画鑑賞で、幼い頃から大のゴジラファンである。
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私の印象ではアメリカ人(※オタクのみ、オタク以外はアニメの話なんて一切出ない)の発想は「アニメ=日本/中国=オタク」でつながっていましたが、交友関係を日本に興味のあるオタク系の人達だけに絞っていませんか?留学先であまり社交的になれない日本人には自然と”salty people”に分類される人達が自分を肯定してくれるコミュニティを求めて特定のグループに属する人達(ここでは日本人)に声をかけます。社交性(語学力含む)の平均レベルに差があるためなんだか現地では冴えないグループの人達に話しかけられるんですね。ジョークの通じないレベルの語学力では普通の友達はできません。
日本でオタク差別されていると感じている日本人が、自分はメインストリームではない、少なくともイケてる趣味ではないと自覚しているアメリカ人とつながるのは似た者同士だからです。確かに誰も他人の趣味に対して善悪はつけませんが同時に大して関心も持ってません。アニメーションの中で日本のアニメが特別なのではなく、単に異なる種類としてとらえられているだけです。あなたがアニメを半分こじつけ気味に称賛するのはアメリカでのあなたの付加価値が「アニメを作ってる国の人」だからではないですか。
ちなみにスペインに留学した学生の話では「アニメを見るか?」と聞いたら「僕はオタクじゃない」と返されたそうです。同じく留学に来ていたアメリカ人も「ジブリは好きだけど(子供/オタクが見るものなので)レンタルするところを見られるのは恥ずかしい」、海外でもオタクの輪から出れば実際はこんなもんです。
アメリカ、近頃は欧米全体もそうですがポリコレに伴う「表面上は皆褒めるだけで他国の文化は決して否定してはいけない暗黙ルール」の生ぬるい空気に溺れているように思えます。褒められることに免疫の無い日本人は事実より大袈裟に拡大解釈しがち、女性がナンパにひっかかるのも男性がモテると勘違いするのも同様の理由です。
日本人は嫌いなものに対し「キモい」「ウザい」と粘着しますが、アメリカ人は好きでなかったら「興味がない」とバッサリ切り捨てますよね。いちいち「キモい」なんて言ってくる人いるわけないじゃないですか、好きでもないものに関わるのは時間の無駄と考えるのがアメリカ人ですから。何年在住が存じ上げませんが根本的な考え方の違いを理解してから記事を書かれては?